今日は近藤史恵さんの小説「さいごの毛布」を紹介します。(若干のネタバレ含みます。)
文庫本の裏表紙を見ると、主人公の智美は犬の最期を看取る「老犬ホーム」で働くことになった、とあります。
泣けるヤツかな? それとも、ほんわか系かな?
と思って図書館で借りたのですが、良い意味で裏切られました。
コミュ障というか人間が苦手、就職活動もうまくいかない智美は、「老犬ホーム」に住み込みで働くことになった。
ボランティアではなく、飼い主からお金を取って犬を預かり、従業員に給料を払うシステム。オーナー1人と従業員2人で15頭の犬を世話している。
犬を預ける人の事情は様々だ。ペット禁止のマンションで飼い始め、飼えなくなったから勝手に置いていこうとしたヤツ。広告収入のために1か月に数日だけ犬と過ごす女優。そんな人たちもいれば、重い病を抱え、元気になったらまた一緒に暮らすことを望む若い飼い主や、自分が亡き後のことを考えて、遺言で愛犬を「老犬ホーム」に託した(もちろん費用付き)高齢者も…
犬に纏わるエピソードも色々だけど、人間の内面の描写が深いです。
人間のきもちも、犬のきもちも、すごく良く分かる。
そして、主人公のほかにもう一人、いわゆるアダルトチルドレン的な?傷ついた子どもの自分を抱えている人が登場します。
共感できるのは、自分もこの人たちに似ているところがあるからかもしれません。
中盤以降サスペンス感も出てきて、オーナーの秘密や智美との意外な関係も判明します。
智美と一緒に、少し前向きに歩けそうな読後感でした。
そして、やはりこういう施設(犬に限らずペットの)、増えた方が良いのだろうと思いました。
飼い主が病気になるなど、飼えなくなってしまったとき、保健所に連れて行くしかない、というのではなく、お金さえ用意しておけば安心して預けられるところがある、そういう選択肢がある、ということはどれだけ心強いことか。
そういう施設が当たり前で、保健所で処分するのは非難されるべきこと、という世の中になってほしい、ともう一人の従業員、碧が語っています。
ペットを飼っている人にも、心に傷を抱えている人にも読んでほしい一冊でした。
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おまけ
↓とうちゃんが留守中は、とうちゃんの座椅子が猫ベッドと化しますw
みんなで ながいきするにゃ!
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