門井慶喜さんの小説「銀河鉄道の父」を読みました。直木賞受賞作です。
タイトルからなんとなく想像できるかもしれませんが、宮沢賢治のお父さんが主人公の小説です。
特段、宮沢賢治の大ファンというわけでもないのですが、近所の本屋さんの文庫コーナーに平積みされていて、目に留まったものです。
以下、少々ネタバレを含みつつの感想です。
物語は、宮沢賢治が生まれてから死後2年までの宮沢家を父である政次郎の視点で描きます。
一番の感想は、宮沢賢治のイメージがすっかり変わったということです。
次に、親というもの。「父でありすぎる」政次郎の愛。
ちなみに巻末には「この物語はフィクションです。登場人物、団体等は実在のものとは一切関係ありません。」と記載されていますが、解説によると、著者は政次郎の足跡を求めてかなりの探索をしたそうですので、台詞などは別として、事実関係はかなり近いのではないかと思います。
で、宮沢賢治のイメージ。
なんとなく、聖人君子のようなイメージを持っていませんか? 「雨ニモマケズ」のイメージが強いからかもしれませんが。
でも、ここで描かれる賢治は、裕福な家の長男に生まれ、親の脛ばかり齧っているダメダメ息子です。
そして、政次郎は、賢治を突き放すことができないアマアマ父ちゃんです。家父長制の時代には珍しい子煩悩な父親。著者はそこに「現代性」を感じたそうです。
そして、子が親より先に死ぬのは、ほとんどの親にとってはとても辛いことなんだろうな…と。
賢治の前には長女トシが亡くなっています。賢治が妹の死の当日を詠んだ詩「永訣の朝」についても描かれています。昔、国語の時間に読んだのを思い出しました。
Marukoは、親の愛が感じられるお話を聞くと、フィクションであれノンフィクションであれ、温かい気持ちと同時に寂しいような羨ましいような感情がどうしても湧いてしまいます。この歳になっても。
父親の顔は覚えていないし、母親は母性が足りない人だったから。賢治みたいに看病されたことも褒められたこともない。ハグされたことも手を繋いだ記憶もない。(小学校入学のときの写真では手を繋いでいるので、一応繋いだことはあるみたいだけど。ほぼ触られた記憶がない。)
幼少期に空いた心の穴っぽこは、歳を取っても完全には埋まらないもの。(アドラーはトラウマを否定するけどね。)
それでも、温かい物語に触れたくなる。
おまけ
三浦春馬さんの「日本製」が届きました。
Marukoは写真集付きの豪華版を買っちゃいました。
春馬さんが47都道府県を訪れ、伝統文化や技術を取材したものです。一つずつゆっくり、その足跡を辿ってみたいと思います。
売上げはラオスの小児病院等に寄付されるそうですので、よろしければどうぞ。
かまいすぎ ねこぱんちされる おやばかにゃ。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。