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【本】「一橋桐子(76)の犯罪日記」「懲役病棟」~刑務所に入りたい女、刑務所に入った女たち

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「刑務所に入りたい」

そんな風に考えている人は実はそれなりにいるのかもしれません。住所不定の人、出所したけど生活がままならない人。ムショなら雨風凌げて食事にも困りませんから。

そんな人は、無銭飲食したり(詐欺罪)、窓を割ったり(器物損壊罪)。刑務所に入るため、捕まるようなことをすればいいと考えるかもしれません。(初犯なら不起訴か、起訴されても実刑にならない可能性が高いですが。)

 

今日は、刑務所に入りたくなったシニア女性の物語「一橋桐子(76)の犯罪日記」と、いろんな事情で女子刑務所に入った女性たちの物語「懲役病棟」を紹介します。

 

1.

一橋桐子(76歳)は、両親の面倒を看ているうち、気づけば、結婚もせずこの歳に。両親を送り、その後同居していた親友も亡くなって、完全にひとり。清掃のパートをしているが貯蓄はないし、孤独死すれば他人に迷惑がかかる。

刑務所に入れば、家や食事の心配は要らないし、病気になったら診てもらえるし、介護もしてもらえるかも…? 長く刑務所に入っていられる犯罪って何かしら?

 

刑務所にいるのが一番、安全安心と思ってしまうような、高齢者を取り巻く環境。予備軍としては身につまされます。

この小説、昨年だったか、NHKでドラマ化されました。

松坂慶子さんがカワイイおばあちゃんで、ほかのキャストもキャラ立ちして、コメディとして面白かったです。

小説では、登場人物はもっと普通というか、だからリアリティがあって、共感もできるし、考えさせられます。

ま、犯罪者を目指すのはやめた方がイイってのは、間違いないですけどね。

 

2.

女医の香織と看護師のマリ江は、半年間の常勤として、病院から女子刑務所に派遣された。

お嬢様育ちの香織は、受刑者のことを「刑務所に入っている時点でロクでもない女に決まっている」などと見下していた。しかし、後輩から渡された聴診器(患者の心の声が聞こえる!)を使うと、さまざまな事情から犯罪者になってしまったことが分かってきた。いや、犯罪者というより被害者だ。

受刑者と個人的に関わることは本来、やってはいけないことだが、放っておくことはできない。

香織とマリ江は、どうやって受刑者たちを救うのか?

 

本作は、魔法の聴診器が登場する「病棟」シリーズ第三弾です。

第一弾、第二弾を読んだ際の記事もありましたので、興味のある方はご覧ください。

run-maruko.hatenablog.com

 

常に、とは言わないけど、やはり女性の方が社会的弱者になりやすい、ということに気付かされます。

男に翻弄され、あるいは、暴力を振るわれ、騙され、権力を振りかざされ、気付けば転落していた女たち。

元は普通の女たち。誰でもそうなり得るということに思い至ります。

刑務所での生活描写もリアリティがある、社会派コメディです。あ、聴診器はファンタジーね。

 

刑務所に入りたい人にも入りたくない人にも読んでほしい、犯罪を考える(あくまでも明るく)小説2冊でした。

 (^^)b オモロイヨ

 


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 じゆうのないクラシ、

ムリだわ。

 

 

 

 

いつもお読みいただき、ありがとうございます。